視能訓練士やめとけは本当? 資格取得前に知っておくべき真実

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近年、視能訓練士は医療現場で必要とされる専門職として注目されています。しかし、インターネット上では「視能訓練士 やめとけ」といったネガティブな意見も見受けられます。視能訓練士を目指す人にとって、これらの意見は気になる点でしょう。

この記事では、視能訓練士の仕事内容、資格取得、給与、労働環境、やりがい、大変な点など、多角的な視点から情報をまとめ、視能訓練士の仕事について深く理解することを目指します。そして、本当に視能訓練士に向いているのか、将来のキャリアプランと照らし合わせて検討できる材料を提供します。

視能訓練士の仕事内容

視能訓練士は、眼科医の指示のもと、患者さんの視力や視野、眼球運動などの視機能を検査し、視覚に問題を抱える人に対して、視能矯正訓練やリハビリテーションを行います。 主な仕事内容は以下の通りです。  

  • 視機能検査: 視力、視野、色覚、眼球運動などを測定する検査を行います。具体的には、ランドルト環を用いた視力検査、視野計を用いた視野検査、色覚検査表を用いた色覚検査、眼位測定などを行います。
  • 視能訓練: 斜視や弱視などの患者さんに対して、視機能を改善するための訓練を行います。例えば、弱視の患者さんには、健眼を遮蔽して弱視眼を使う訓練や、立体視を促す訓練などを行います。斜視の患者さんには、プリズムやアイパッチを用いた訓練などを行います。
  • 集団検診: 学校や企業などで、視力検査などの検診を行います。視力検査の結果を分析し、眼科受診が必要な児童・生徒や従業員を抽出します。
  • ロービジョンケア: 視覚に障害のある方の生活を支援するためのケアを行います。日常生活での困りごとを把握し、拡大読書器や音声読み上げソフトなどの活用方法を指導したり、白杖歩行の訓練などを行います。

視能訓練士は、患者さんのQOL (生活の質) 向上に貢献できる、やりがいのある仕事です。  

視能訓練士になるには? 資格取得までの道のり

視能訓練士になるには、国家資格である「視能訓練士」の資格を取得する必要があります。 資格取得までの道のりは、以下の通りです。  

  1. 視能訓練士養成校を卒業する: 文部科学大臣が指定した視能訓練士養成校 (大学や専門学校) で3年以上学び、卒業する必要があります。  
  2. 国家試験に合格する: 厚生労働省が実施する視能訓練士国家試験に合格する必要があります。 国家試験は年に1回実施され、合格率は約90%です。  

視能訓練士養成校では、眼科検査や視能訓練に必要な専門知識や技術を学びます。 解剖学、生理学、眼科学、視能訓練学などの科目を履修し、実習を通して実践的なスキルを習得します。国家試験の受験資格を得るためには、これらの科目を修め、所定の単位を取得する必要があります。  

国家試験は、視能訓練士として必要な知識や能力を評価する試験です。 試験は筆記試験で行われ、視能検査学、視能矯正学、眼科学、関係法規などの科目が問われます。 試験会場では、監督員の指示に従い、不正行為をしないように注意する必要があります。  

視能訓練士の給与事情

視能訓練士の平均年収は約378.5万円です。 男女別、勤務先別に見ると、以下のようになります(小数点以下切り捨て)。  

勤務先男性女性
総合病院451万円370万円
クリニック459万円355万円

経験年数によっても年収は異なり、経験を積むほど年収は上がっていく傾向があります。  

経験年数平均年収
5年未満312万円
5年〜10年未満363万円
10年〜15年未満402万円
15年〜20年未満447万円
20年〜25年未満484万円
25年〜30年未満554万円
30年〜35年未満591万円

「視能訓練士 やめとけ」は本当?

視能訓練士の仕事には、やりがいがある一方で、インターネット上では「視能訓練士 やめとけ」といったネガティブな意見も見受けられます。これらの意見が見られる背景には、以下のような理由が考えられます。

  • 人間関係の悩み: 女性が多い職場であるため、人間関係のトラブルが起こりやすいという意見があります。 特に、新人の視能訓練士は、先輩からの風当たりが強いと感じることもあるようです。  
  • 給与の低さ: 他の医療職と比べて、給与が低いという意見があります。 特に、地方のクリニックでは、給与が低い傾向があります。  
  • 仕事の単調さ: 視能検査は、同じ作業の繰り返しになることが多く、単調な仕事だと感じる人もいるようです。  
  • 責任の重さ: 患者さんの健康に関わる仕事なので、責任が重く、プレッシャーを感じやすいという意見があります。  

視能訓練士の労働環境

視能訓練士の主な勤務先は、眼科クリニックや病院です。 大学や専門学校などの教育機関、医療機器メーカーなどで働く人もいます。  

視能訓練士の1日の仕事の流れは、勤務先や担当する業務によって異なりますが、一般的な例としては以下のようなものがあります。  

  • 午前:視力検査、視野検査、眼圧検査などの眼科検査
  • 午後:斜視や弱視の患者さんへの視能訓練、ロービジョンケア
  • その他:カルテの整理、検査機器のメンテナンス、患者さんへの説明など

一般的に、視能訓練士の労働時間は、病院やクリニックの診療時間に合わせて、日勤帯が中心となります。 夜勤はほとんどありませんが、 医療現場では、急患対応や残業が発生することもあります。 土日祝日は休診の施設が多いため、比較的休みが取りやすいというメリットがあります。  

ただし、患者さんとのコミュニケーションや、検査・訓練の正確性が求められるため、精神的な負担を感じることもあるでしょう。  

視能訓練士のキャリアパスと将来性

視能訓練士の資格を取得した後は、眼科クリニックや病院で経験を積み、将来的には以下のようなキャリアパスを描くことができます。  

  • 専門性を高める: 特定の分野 (小児眼科、ロービジョンケア、神経眼科、スポーツビジョンなど) に特化し、専門性を高めることができます。 例えば、小児眼科に特化した視能訓練士は、子どもの視力発達に関する専門知識を深め、弱視や斜視の治療に力を入れます。ロービジョンケアに特化した視能訓練士は、視覚に障害のある方の生活を支援するための知識や技術を習得し、リハビリテーションやカウンセリングを行います。  
  • 管理職を目指す: 病院やクリニックで、視能訓練士のチームをまとめるリーダーや管理職に昇進することができます。
  • 教育・研究機関で働く: 大学や専門学校で、視能訓練士の育成に携わったり、視覚に関する研究を行うことができます。
  • 医療機器メーカーに転職する: 眼科検査機器や治療機器の開発、販売、メンテナンスなどに携わることができます。  

視能訓練士は、専門性の高い国家資格であり、需要が高まっていることから、将来性のある職業と言えるでしょう。特に、高齢化社会の進展に伴い、眼科疾患を抱える人が増加しているため、視能訓練士の役割はますます重要になっています。

視能訓練士のやりがい

視能訓練士の仕事には、以下のようなやりがいがあります。  

  • 患者さんの視力回復に貢献できる: 視能訓練士の仕事は、患者さんの視力回復をサポートし、QOL向上に貢献できる、社会的に意義のある仕事です。例えば、弱視の子供さんの視力が改善し、学校生活を楽しめるようになったとき、大きな達成感を味わえます。
  • 患者さんから感謝される: 訓練を通して、患者さんの視力や生活が改善されたときに、感謝の言葉を直接聞ける機会があり、大きなやりがいを感じられます。 例えば、ロービジョンケアを通して、視覚障害のある方が、日常生活の困難を克服し、笑顔を取り戻したときに、感謝の言葉をかけられることがあります。  
  • 専門性を活かせる: 専門的な知識や技術を活かして、患者さんのために働くことができます。視能訓練士は、眼科医療において重要な役割を担っており、専門性を活かして患者さんの治療に貢献することができます。
  • チーム医療に貢献できる: 眼科医や看護師など、他の医療スタッフと連携して、患者さんの治療にあたることができます。それぞれの専門性を活かし、チームで協力することで、より質の高い医療を提供することができます。

視能訓練士の大変な点

視能訓練士の仕事には、やりがいがある一方で、以下のような大変な点もあります。  

  • 患者さんとのコミュニケーション: 患者さんの年齢や症状はさまざまで、一人ひとりに合わせたコミュニケーションが必要となります。時には、対応に困る患者さんもいるかもしれません。例えば、幼い子供さんや高齢者の方、認知症の方など、コミュニケーションを取るのが難しい患者さんもいます。また、患者さんの不安や緊張を和らげ、検査や治療についてわかりやすく説明する必要があります。
  • 精神的な負担: 検査や訓練の正確性が求められるため、精神的なプレッシャーを感じることがあります。また、患者さんの病気や症状に深く関わっていく中で、 emotional labor (感情労働) を経験することもあるでしょう。例えば、患者さんの病気の進行や、治療がうまくいかない場合など、精神的なストレスを感じる場面もあります。
  • 人間関係: 女性が多い職場であるため、人間関係のトラブルが起こる可能性もあります。 職場の人間関係がうまくいかないと、仕事へのモチベーションが低下したり、ストレスを感じてしまう可能性があります。  
  • 勉強の継続: 医療技術は常に進歩しているため、新しい知識や技術を習得するために、継続的に勉強する必要があります。学会や研修会に参加したり、専門書を読んだりするなど、常に自己研鑽を続ける必要があります。

視能訓練士に向いている人・向いていない人

視能訓練士に向いている人は、以下のような特徴を持つ人です。  

  • 人の役に立ちたいという気持ちがある人: 視能訓練士の仕事は、患者さんの視力回復をサポートし、QOL向上に貢献できる仕事です。人の役に立ちたいという気持ちが強い人に向いています。
  • コミュニケーション能力が高い人: 患者さんや他の医療スタッフと、円滑なコミュニケーションを取ることが求められます。患者さんの不安を和らげ、検査や治療についてわかりやすく説明できる人や、他の医療スタッフと協力してチーム医療を実践できる人が向いています。
  • 細かい作業が得意な人: 視能検査や訓練では、精密な機器を扱ったり、細かい作業を行うことがあります。正確に検査や訓練を行うためには、集中力と丁寧さが必要です。
  • 責任感の強い人: 患者さんの健康に関わる仕事なので、責任感を持って仕事に取り組める人が求められます。検査や訓練の結果が、患者さんの治療に影響を与える可能性もあるため、責任感を持って仕事に取り組むことが重要です。
  • 忍耐強い人: 患者さんの視力回復には、時間と根気が必要です。根気強く、患者さんに寄り添える人が求められます。

逆に、視能訓練士に向いていない人は、以下のような特徴を持つ人です。  

  • 人と接するのが苦手な人: 患者さんとコミュニケーションを取ることが苦手な人は、視能訓練士の仕事にストレスを感じてしまう可能性があります。
  • 単調な作業が苦手な人: 視能検査は、同じ作業の繰り返しになることもあります。単調な作業が苦手な人は、飽きてしまうかもしれません。
  • プレッシャーに弱い人: 検査や訓練の正確性が求められるため、プレッシャーに弱い人は、ミスをしてしまう可能性があります。

視能訓練士の仕事を選ぶ上での注意点

視能訓練士の仕事を選ぶ上で、注意すべき点は以下の通りです。

  • 専門性が高い: 視能訓練士は、専門的な知識や技術を必要とする仕事です。そのため、常に勉強を続ける必要があります。
  • 責任が重い: 患者さんの健康に関わる仕事なので、責任重大です。
  • 給与が低い: 他の医療職と比べて、給与が低い傾向があります。
  • 求人数が少ない: 視能訓練士の求人数は、他の医療職と比べて少ない傾向があります。
  • 国家試験の受験資格: 視能訓練士国家試験を受験するには、文部科学大臣の指定する学校または厚生労働大臣の指定する養成施設において、3年以上視能訓練士として必要な知識及び技能を修得する必要があります。  
  • 国家試験のルール: 試験場内では、監督員の指示に従う必要があります。 また、試験場及び近隣の迷惑にならないよう、良識のある行動をとる必要があります。  

視能訓練士以外の選択肢

視能訓練士の仕事に魅力を感じつつも、「やめとけ」という意見が気になる場合は、他の選択肢も検討してみましょう。視能訓練士の知識や経験を活かせる、関連する職業には、以下のようなものがあります。

  • 眼科検査技師: 眼科医の指示のもと、視能検査や眼科機器の操作などを行います。視能訓練士と同様に、眼科医療に貢献できる仕事です。
  • 眼鏡士: 眼鏡の販売や調整、視力検査などを行います。視能訓練士の知識を活かして、お客様に最適な眼鏡を提供することができます。
  • 医療機器メーカー: 眼科検査機器や治療機器の開発、販売、メンテナンスなどを行います。 眼科医療の知識を活かして、医療機器の開発や販売に携わることができます。  
  • 医療事務: 医療機関の受付や会計、診療報酬請求などの事務を行います。 医療事務の資格を取得することで、眼科クリニックや病院で働くことができます。  

結論: 視能訓練士になるべき?

視能訓練士は、患者さんの視力回復に貢献できる、やりがいのある仕事です。患者さんから感謝されることも多く、社会貢献を実感できる仕事と言えるでしょう。しかし、人間関係の悩みや給与の低さ、仕事の単調さ、責任の重さなど、大変な点も存在します。  

視能訓練士を目指すかどうかは、仕事内容、やりがい、大変な点、そして自身の適性などを総合的に判断する必要があります。人の役に立ちたいという気持ちが強く、コミュニケーション能力が高く、責任感の強い人に向いている職業と言えるでしょう。

この記事で紹介した情報を参考に、視能訓練士の仕事について深く理解し、自分にとって最適なキャリアプランを考えてみましょう。視能訓練士の仕事が、あなたの求める働き方と合致しているか、しっかりと見極めることが大切です。

視能訓練士の受験者数の現状

視能訓練士の国家試験の受験者数は、他の医療系国家資格と比べて少ない傾向にあります。 これは、視能訓練士の認知度が低いことや、養成校の数が限られていることなどが要因として考えられます。  

資格出願者数受験者数合格者数
視能訓練士869人842人773人
理学療法士13,377人12,685人10,096人
作業療法士5,920人5,723人4,608人
診療放射線技師3,599人3,245人2,793人
臨床検査技師5,331人4,948人3,729人
引用元:https://karu-keru.com/info/job/co/orthoptist-future

視能訓練士の受験者数が少ないことは、就職活動において有利に働く可能性があります。しかし、視能訓練士の需要は増加傾向にあるため、将来的な競争激化も予想されます。

(参考資料)
視能訓練士実態調査報告書|2020年
公益社団法人 日本視能訓練士協会

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